給与明細の見方|支給・控除の項目と確認するところ

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給与明細は、毎月の給与がどう計算されたかを示す書類です。項目は多く見えますが、大きく3つの欄に分かれています。

  • 勤怠:働いた日数や時間
  • 支給:会社から支払われるお金(基本給や手当)
  • 控除:給与から引かれるお金(社会保険料や税金)
  • 手取り(差引支給額)= 支給の合計 − 控除の合計

この記事では、それぞれの項目の意味と、毎月確認しておきたいところを説明します。金額の例は、令和8年度(2026年度)の協会けんぽ・東京都の料率で計算しています。

給与明細の例

40歳未満・扶養なしの会社員の、ある月の明細の例です。

勤怠

項目内容
出勤日数20日
有給休暇1日
時間外労働8時間

支給

項目金額
基本給270,000円
役職手当10,000円
時間外手当17,500円
通勤手当10,000円
支給合計307,500円

控除

項目金額
健康保険14,775円
子ども・子育て支援金345円
厚生年金27,450円
雇用保険1,537円
所得税6,250円
住民税12,500円
控除合計62,857円

差引支給額(手取り):307,500円 − 62,857円 = 244,643円

項目の名前や並び方は会社によって少しちがいますが、内容はほぼ同じです。

勤怠の欄

その月に働いた日数と時間が書かれています。支給額を計算するもとになる数字です。

  • 出勤日数・欠勤日数:実際に出勤した日数と、休んだ日数です。
  • 有給休暇:その月に使った有給休暇の日数です。残りの日数が書かれている明細もあります。
  • 時間外労働:決められた労働時間を超えて働いた時間です。この時間をもとに、時間外手当(残業代)が計算されます。
  • 深夜労働・休日労働:午後10時から午前5時までに働いた時間と、休日に働いた時間です。

勤怠の締め日と給与の支払日はずれていることが多いので、「何月何日から何月何日までの分か」を確かめてから見ます。

支給の欄

会社から支払われるお金です。毎月決まって支払われるものと、月によって変わるものがあります。

  • 基本給:給与の基本になる金額です。
  • 各種の手当:役職手当、資格手当、住宅手当、家族手当など。会社の決まりによって支給されます。
  • 時間外手当:残業した時間の分の賃金です。深夜や休日に働いた分は、別の行に分かれていることもあります。
  • 通勤手当:通勤にかかる費用です。

上の例の時間外手当は、次のように計算しています。1か月の平均所定労働時間は160時間としています。

  • 1時間あたりの賃金:(270,000円 + 10,000円)÷ 160時間 = 1,750円
  • 時間外手当:1,750円 × 1.25 × 8時間 = 17,500円

残業代の計算のしかたは「残業代の計算方法」でくわしく説明しています。

通勤手当は、税金と社会保険で扱いがちがう

通勤手当は、所得税の計算では非課税です(電車やバスの場合は月15万円まで)。そのため、所得税は通勤手当を除いた金額にかかります。

一方、社会保険料と雇用保険料の計算では、通勤手当も含めます。通勤手当が多い人は、その分だけ保険料が高くなります。

控除の欄

給与から引かれるお金です。社会保険料と税金の2種類があります。

社会保険料

項目本人の率
健康保険4.925%
子ども・子育て支援金0.115%
介護保険0.81%
厚生年金9.15%
雇用保険0.5%
  • 健康保険:病院にかかるときなどのための保険です。料率は、都道府県や加入している健康保険組合によってちがいます。
  • 子ども・子育て支援金:令和8年4月分から始まりました。健康保険料にまとめて書かれている明細と、別の行になっている明細があります。
  • 介護保険:40歳から64歳までの人だけが引かれます。
  • 厚生年金:将来の年金のための保険です。
  • 雇用保険:失業したときなどのための保険です。料率は一般の事業の場合です。

健康保険・子ども・子育て支援金・介護保険・厚生年金は、その月の給与ではなく「標準報酬月額」に率を掛けて計算します。雇用保険は、その月の支給合計に率を掛けます。上の例では、標準報酬月額は30万円です。

  • 健康保険:300,000円 × 4.925% = 14,775円
  • 厚生年金:300,000円 × 9.15% = 27,450円
  • 雇用保険:307,500円 × 0.5% = 1,537円(50銭以下の端数は切り捨て)

標準報酬月額は年に1回決まるので、残業が多い月も少ない月も、健康保険料と厚生年金保険料は同じ金額です。雇用保険料だけは、その月の支給合計によって毎月変わります。

くわしくは「社会保険料の計算方法」で説明しています。

税金

  • 所得税:その月の給与にかかる税金を、仮の金額で先に引いています。支給額から通勤手当などの非課税の分と社会保険料を引いた金額と、扶養親族等の数で決まります。1年間の正しい税額は、12月の年末調整で計算し直されます。
  • 住民税:前の年の所得にかかる税金です。1年分の税額を12回に分けて、6月から翌年5月まで毎月引かれます。

上の例では、所得税は次の金額をもとに計算されています。

  • 297,500円(通勤手当を除いた支給額)− 44,107円(社会保険料)= 253,393円

住民税の計算のしかたは「住民税の計算方法」で説明しています。

その他の控除

会社によっては、次のようなものが引かれることがあります。

  • 財形貯蓄、社内預金
  • 労働組合の組合費
  • 社宅の家賃、食事代
  • 生命保険などの保険料(会社を通じて払っている場合)

毎月確認したいところ

1. 働いた時間が合っているか

勤怠の欄の出勤日数、残業時間、有給休暇の日数が、実際と合っているかを確かめます。残業時間が実際より少ないと、残業代も少なくなります。

2. 手当がもれなく付いているか

資格を取った、引っ越して通勤の経路が変わった、家族が増えたなど、手当にかかわる変化があったときは、反映されているかを確かめます。

3. 社会保険料が急に変わっていないか

健康保険料と厚生年金保険料は、ふつうは毎月同じ金額です。変わるのは、主に次のときです。

  • 毎年10月ごろ(標準報酬月額の見直し)
  • 3月から4月ごろ(保険料率の改定)
  • 昇給などで給与が大きく変わってから、数か月後

4. 住民税が6月に変わる

住民税は、6月から新しい年度の金額になります。5月から6月ごろに会社から配られる決定通知書の金額と、明細の金額が合っているかを確かめます。

5. 扶養の人数が合っているか

所得税は、扶養している家族の人数によって変わります。結婚や出産、子どもの就職などで人数が変わったときは、会社に届け出ます。届け出が遅れても、年末調整で精算されます。

金額が変わりやすい月

  • 3月〜4月ごろ:健康保険・介護保険・雇用保険の料率が見直されます。
  • 6月:住民税が新しい年度の金額になります。
  • 10月ごろ:標準報酬月額の見直しで、健康保険料と厚生年金保険料が変わります。
  • 12月:年末調整で、所得税が戻ってくるか、追加で引かれます。

4月から6月に残業が多いと、その年の標準報酬月額が上がり、10月ごろから1年間、健康保険料と厚生年金保険料が高くなります。

給与明細は保管しておく

会社は、給与を支払うときに明細書を渡すことが、所得税法で義務づけられています。本人が承諾していれば、紙ではなくウェブで見る形でもかまいません。

受け取った明細は、捨てずに保管しておきます。

  • 未払いの残業代などを請求できる期間は、3年です(当面の間)。少なくとも3年分は残しておくと安心です。
  • 年金の記録にまちがいがないかを確かめるときに、引かれた保険料の証拠になります。
  • 住宅ローンの審査などで、収入を示す書類として求められることがあります。

ウェブの明細は、退職すると見られなくなることがあります。PDFで保存するか、印刷しておくと確実です。

自分で計算して確かめる

支給額から社会保険料と所得税を計算して、明細の金額と比べることができます。

無料の計算ツール社員給与明細基本給や手当を入れると、社会保険料と所得税を計算して、給与明細の形で表示します。PDFやExcelでも保存できます。使ってみる › 無料の計算ツール手取り計算機年収や月収から、1年間の手取りと、引かれる金額の内訳を計算します。使ってみる ›

まとめ

  • 給与明細は「勤怠」「支給」「控除」の3つの欄でできています。
  • 手取りは、支給の合計から控除の合計を引いた金額です。
  • 健康保険料と厚生年金保険料は標準報酬月額で決まり、ふつうは毎月同じです。雇用保険料と所得税は、その月の支給額で変わります。
  • 通勤手当は、所得税では非課税ですが、社会保険料の計算には含まれます。
  • 住民税は6月に、社会保険料は10月ごろに変わります。

この記事は2026年10月時点の制度にもとづいています。金額の例は、協会けんぽ・東京都(令和8年度)の料率で計算した目安です。所得税は、会社が使う税額表の種類によって、数十円ちがうことがあります。

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