残業代の計算方法|割増率と1時間あたりの賃金の出し方
残業代は、「1時間あたりの賃金」に「割増率」と「残業した時間」を掛けて計算します。月給の人は、まず月給を1時間あたりの金額に直すところから始めます。
- 残業代 = 1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業した時間
- 割増率は、時間外労働が1.25倍、月60時間を超えた分が1.5倍、法定休日が1.35倍。深夜(午後10時〜午前5時)は0.25が上乗せされる
- 例:月給30万円(年間休日125日・1日8時間)で20時間残業すると、1,875円 × 1.25 × 20時間 = 46,875円
この記事では、1時間あたりの賃金の出し方、割増率、計算例を順に説明します。数字を入れてすぐに計算したいときは、下のツールが使えます。
無料の計算ツール残業代計算月給または時給と残業時間を入れると、残業代を計算します。深夜・法定休日・月60時間超の割増にも対応しています。使ってみる ›残業代の計算式
残業代 = 1時間あたりの賃金 × 割増率 × 残業した時間
計算に使う数字は3つです。
- 1時間あたりの賃金:時給の人は時給そのもの。月給の人は、月給を1か月の平均所定労働時間で割った金額
- 割増率:残業の種類ごとに、法律で最低の率が決められている
- 残業した時間:法律で決められた時間(1日8時間・週40時間)を超えて働いた時間など
1時間あたりの賃金の出し方
時給・日給の場合
時給で働いている人は、時給がそのまま1時間あたりの賃金です。日給の人は、日給を1日の所定労働時間(会社で決められた勤務時間)で割ります。
月給の場合
月給を、1か月の平均所定労働時間で割ります。
1時間あたりの賃金 = 月給 ÷ 1か月の平均所定労働時間
1か月の平均所定労働時間 =(365日 − 年間休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12
月によって働く日数がちがうので、1年分をならした時間を使います。年間休日が125日、1日8時間勤務の会社なら、次のようになります。
- 1か月の平均所定労働時間 =(365 − 125)× 8 ÷ 12 = 160時間
- 月給30万円の場合:300,000 ÷ 160 = 1,875円
年間休日の日数は、就業規則や求人票、会社のカレンダーで確かめられます。1日8時間勤務の場合の、1か月の平均所定労働時間(表の「月の平均時間」)と1時間あたりの賃金の目安は、次のとおりです。
| 年間休日 | 月の平均時間 | 月給30万円の場合 |
|---|---|---|
| 105日 | 約173.3時間 | 約1,731円 |
| 110日 | 170時間 | 約1,765円 |
| 115日 | 約166.7時間 | 1,800円 |
| 120日 | 約163.3時間 | 約1,837円 |
| 125日 | 160時間 | 1,875円 |
同じ月給でも、年間休日が多い会社ほど、1時間あたりの賃金は高くなります。
月給に含めない手当
月給には、基本給のほか、役職手当や資格手当なども含めます。次の手当は、残業代の計算のもとになる月給に含めなくてよいことになっています。
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金(結婚手当など)
- 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)
ただし、家族の人数や通勤にかかる費用に関係なく、全員に同じ額が支払われている場合は、名前が「家族手当」「通勤手当」でも月給に含めます。
割増率の一覧
残業の種類によって、割増率が決まっています。法律で決められた最低の率なので、会社によってはこれより高いこともあります。
| 種類 | 倍率 |
|---|---|
| 時間外労働 | 1.25 |
| 時間外労働(月60時間超) | 1.5 |
| 深夜労働 | +0.25 |
| 法定休日労働 | 1.35 |
- 時間外労働:1日8時間・週40時間を超えて働いた時間
- 月60時間超:その月の時間外労働が60時間を超えた分
- 深夜労働:午後10時〜午前5時に働いた時間
- 法定休日労働:法定休日に働いた時間
深夜の割増は、ほかの割増に上乗せされます。
- 時間外 + 深夜:1.25 + 0.25 = 1.5
- 月60時間超の時間外 + 深夜:1.5 + 0.25 = 1.75
- 法定休日 + 深夜:1.35 + 0.25 = 1.6
月60時間を超える分の1.5倍は、以前は大企業だけでしたが、2023年4月からは中小企業にも適用されています。
計算例
月給30万円(上の手当を除いた額)、年間休日125日、1日8時間勤務の人で計算します。1時間あたりの賃金は1,875円です。
20時間残業した場合
1,875円 × 1.25 × 20時間 = 46,875円
20時間のうち5時間が深夜だった場合
深夜の5時間には、0.25倍が上乗せされます。
- 時間外の分:1,875円 × 1.25 × 20時間 = 46,875円
- 深夜の上乗せ:1,875円 × 0.25 × 5時間 = 2,343.75円 → 2,344円
- 合計:49,219円
70時間残業した場合
60時間までは1.25倍、60時間を超えた10時間は1.5倍で計算します。
- 60時間まで:1,875円 × 1.25 × 60時間 = 140,625円
- 60時間を超えた分:1,875円 × 1.5 × 10時間 = 28,125円
- 合計:168,750円
法定休日に8時間働いた場合
1,875円 × 1.35 × 8時間 = 20,250円
時給1,200円の人が10時間残業した場合
時給の人は、時給をそのまま使います。
1,200円 × 1.25 × 10時間 = 15,000円
このうち5時間が深夜だった場合は、1,200円 × 0.25 × 5時間 = 1,500円が上乗せされ、合計16,500円になります。
1日の中で、どこからが残業になるか
1時間あたりの賃金が1,500円の人が、午前9時から午後11時まで働いた日(休憩1時間)で考えます。
- 9時〜18時(休憩1時間):通常の勤務が8時間。ここまでは残業になりません
- 18時〜22時:時間外労働が4時間。1,500円 × 1.25 × 4時間 = 7,500円
- 22時〜23時:時間外労働で、深夜でもある1時間。1,500円 × 1.5 × 1時間 = 2,250円
この日の残業代は、7,500円 + 2,250円 = 9,750円です。
「所定」と「法定」のちがい
会社が決めた勤務時間を「所定労働時間」、法律で決められた上限を「法定労働時間」(1日8時間・週40時間)といいます。
所定労働時間が1日7時間の会社では、7時間を超えて8時間までの1時間は「法定内残業」です。この時間は、割増なしの通常の賃金(1.0倍)で計算します。就業規則で割増をつけている会社もあります。
割増が必ずつくのは、1日8時間・週40時間を超えた分からです。
- 例:1時間あたりの賃金が2,000円の人が、法定内残業を10時間、時間外労働を5時間した場合
- 法定内残業:2,000円 × 1.0 × 10時間 = 20,000円
- 時間外労働:2,000円 × 1.25 × 5時間 = 12,500円
- 合計:32,500円
法定休日と、それ以外の休日
法律では、少なくとも週に1日(または4週間に4日)の休日を与えることが決められています。これが「法定休日」で、この日に働いた分は1.35倍になります。
週休2日の会社では、2日の休みのうち1日が法定休日で、もう1日は会社が決めた休日(所定休日)です。所定休日に働いた時間は、週40時間を超えていれば時間外労働として1.25倍になります。
法定休日に働いた時間は、「月60時間」の計算には入れません。
残業時間と金額の端数の扱い
残業代は、実際に働いた時間をもとに計算します。1日ごとに、15分などの決まった時間に満たない分を一律に切り捨てて、その分の賃金を支払わないことは、労働基準法違反になります。
ただし、次のような端数の処理は、認められています。
- 1か月の時間外労働・休日労働・深夜労働のそれぞれの合計に1時間未満の端数があるとき、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げる
- 1時間あたりの賃金や割増賃金に1円未満の端数があるとき、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる
固定残業代がある場合
「固定残業代」「みなし残業代」として、決まった時間分の残業代が、あらかじめ給与に含まれている会社があります。この場合も、実際の残業時間が決められた時間を超えたときは、超えた分の残業代が別に支払われます。
何時間分の残業代がいくら含まれているかは、雇用契約書や就業規則、給与明細で確かめられます。
残業時間の上限
会社が従業員に残業をさせるには、労働者の代表と「36(サブロク)協定」を結ぶ必要があります。協定を結んでいても、時間外労働は原則として月45時間・年360時間までです。
特別な事情があって労使が合意した場合でも、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満などの上限があります。
給与明細で確かめる
残業代は、給与明細の「時間外手当」「深夜手当」「休日手当」などの欄に書かれています。残業した時間と金額が合っているかは、次の順番で確かめられます。
- 月給(除ける手当を引いた額)と年間休日から、1時間あたりの賃金を出す
- 残業した時間を、時間外・深夜・法定休日に分ける
- それぞれに倍率を掛けて合計する
出勤と退勤の時刻から働いた時間を出すには時間計算が、残業代を含めた手取りを知りたいときは次のツールが使えます。
無料の計算ツール社員給与明細残業時間と時間単価を入れると、残業手当・社会保険料・所得税を自動で計算します。使ってみる ›この記事は、労働基準法で決められた一般的なルールを説明したものです。変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制、管理監督者などは、計算のしかたが異なります。実際の金額は、就業規則や雇用契約で確かめてください。