社会保険料の計算方法|標準報酬月額とは?決まり方と保険料の出し方【令和8年度】
給与明細の健康保険料と厚生年金保険料は、その月の給与に率を掛けた金額ではありません。「標準報酬月額」という金額に率を掛けて計算します。
- 保険料 = 標準報酬月額 × 保険料率 ÷ 2(会社と本人で半分ずつ負担)
- 標準報酬月額は、4・5・6月に支払われた給与の平均で決まり、9月分から1年間使う
- そのため、月によって給与が変わっても、保険料は基本的に同じ金額になる
この記事の料率は、令和8年度(2026年度)の協会けんぽ・東京都のものです。健康保険の料率は、都道府県や加入している健康保険組合によって違います。
社会保険料の計算式
会社員の給与から引かれる社会保険料は、次の5つです。
| 保険 | 本人の率 |
|---|---|
| 健康保険 | 4.925% |
| 子ども・子育て支援金 | 0.115% |
| 介護保険 | 0.81% |
| 厚生年金 | 9.15% |
| 雇用保険 | 0.5% |
- 上の4つは、標準報酬月額にこの率を掛けます。
- 雇用保険だけは標準報酬月額を使わず、その月に支払われた給与の総額に率を掛けます。率は一般の事業の場合です。
- 介護保険は、40〜64歳の人だけが負担します。
- 子ども・子育て支援金は、令和8年4月分から始まりました。健康保険料と合わせて引かれます。
「本人の率」は、保険料率を会社と半分ずつに分けたあとの率です。雇用保険以外は、同じ金額を会社も負担しています。雇用保険は、会社の負担のほうが多くなっています。
標準報酬月額とは
標準報酬月額は、月給を区切りのよい金額にあてはめたものです。月給(報酬月額)がどの範囲に入るかで決まります。等級表の一部を抜き出します。単位は円です。
| 報酬月額 | 標準報酬月額 |
|---|---|
| 195,000以上 210,000未満 | 200,000 |
| 250,000以上 270,000未満 | 260,000 |
| 290,000以上 310,000未満 | 300,000 |
| 310,000以上 330,000未満 | 320,000 |
| 395,000以上 425,000未満 | 410,000 |
| 485,000以上 515,000未満 | 500,000 |
たとえば月給が29万円でも30万9,000円でも、標準報酬月額は30万円で、保険料は同じです。
健康保険は5万8,000円から139万円までの50等級、厚生年金は8万8,000円から65万円までの32等級に分かれています。
報酬に含まれるもの
標準報酬月額を決めるときの「報酬」は、基本給だけではありません。
- 含まれる:基本給、残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役職手当など
- 含まれない:出張旅費、お祝い金や見舞金、退職金、年3回までの賞与(賞与は別に計算します)
通勤手当は、所得税では一定額まで非課税ですが、社会保険では報酬に含まれます。通勤手当が多い人は、その分だけ標準報酬月額が高くなります。
標準報酬月額が決まる3つのタイミング
1. 入社したとき
入社時の給与(見込みの残業手当や通勤手当を含む)で決まります。
2. 年に1回の見直し(定時決定)
毎年、4月・5月・6月に支払われた給与の平均で決め直します。新しい標準報酬月額は、その年の9月分から翌年の8月分まで使われます。
3. 給与が大きく変わったとき(随時改定)
昇給や降給、手当の変更などで固定的な給与が変わり、その後3か月の平均で標準報酬月額が2等級以上変わった場合は、4か月目から改定されます。残業が増えただけでは、随時改定にはなりません。
4〜6月の残業で、保険料はいくら変わるか
ふだんの月給が30万円の人で考えます。4〜6月に残業が増え、支払われた給与が次のようになったとします。
- 4月:320,000円
- 5月:330,000円
- 6月:325,000円
3か月の平均は325,000円で、標準報酬月額は30万円から32万円に上がります。40歳未満の場合、保険料の変化は次のとおりです。
| 保険 | 30万円 | 32万円 | 差 |
|---|---|---|---|
| 健康保険 | 15,120 | 16,128 | 1,008 |
| 厚生年金 | 27,450 | 29,280 | 1,830 |
| 合計 | 42,570 | 45,408 | 2,838 |
単位は円で、健康保険には子ども・子育て支援金を含みます。月に2,838円、1年で34,056円の差になります。
見るのは「4〜6月に支払われた給与」です。残業手当が翌月に支払われる会社では、3〜5月の残業が対象になります。
標準報酬月額が上がると保険料は増えますが、将来受け取る厚生年金も増えます。病気やけがで休んだときの傷病手当金、出産手当金も、標準報酬月額をもとに計算されます。保険料が増える分、給付も増えるしくみです。
標準報酬月額ごとの保険料
40歳未満の人の、1か月の本人負担額です。標準報酬の単位は万円、ほかは円です。健康保険には子ども・子育て支援金を含みます。
| 標準報酬 | 健康保険 | 厚生年金 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 20 | 10,080 | 18,300 | 28,380 |
| 26 | 13,104 | 23,790 | 36,894 |
| 30 | 15,120 | 27,450 | 42,570 |
| 41 | 20,664 | 37,515 | 58,179 |
| 50 | 25,200 | 45,750 | 70,950 |
| 65 | 32,760 | 59,475 | 92,235 |
40〜64歳の人は、これに介護保険料(標準報酬月額 × 0.81%)が加わります。標準報酬月額30万円なら2,430円です。
端数の扱い
給与から引くときの本人負担額に1円未満の端数が出た場合は、50銭以下は切り捨て、50銭を超えるときは切り上げます。
保険料には上限がある
標準報酬月額には上限があるので、給与がそれを超えても保険料は増えません。
- 厚生年金:上限は65万円です。月給が63万5,000円以上の人は、いくら高くても本人負担は月59,475円です。
- 健康保険:上限は139万円です。
厚生年金の上限は、法律の改正で段階的に引き上げられることが決まっています。2027年9月から68万円、2028年9月から71万円、2029年9月から75万円になります。
賞与の保険料
賞与からも、同じ料率で保険料が引かれます。掛ける金額は、賞与の額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」です。
賞与が60万円の場合(40歳未満)の本人負担額は、次のとおりです。
- 健康保険(支援金を含む):60万円 × 5.04% = 30,240円
- 厚生年金:60万円 × 9.15% = 54,900円
- 雇用保険:60万円 × 0.5% = 3,000円
標準賞与額にも上限があります。厚生年金は1回につき150万円、健康保険は1年度(4月〜翌年3月)の合計で573万円です。
いつの給与から引かれるか
保険料は、翌月に支払われる給与から引くのが原則です。9月分から新しい標準報酬月額になるので、保険料が変わるのは10月に支払われる給与からです。会社によっては、その月の給与から引く場合もあります。
介護保険料は、40歳になる月の分から引かれ始めます。法律上は誕生日の前日に40歳になるため、1日生まれの人は、誕生月の前の月の分からになります。
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まとめ
- 健康保険と厚生年金の保険料は、標準報酬月額 × 保険料率 ÷ 2 で計算します。
- 標準報酬月額は、4〜6月に支払われた給与の平均で決まり、9月分から1年間使われます。
- 残業手当や通勤手当も報酬に含まれます。
- 標準報酬月額が上がると保険料は増えますが、年金や手当金などの給付も増えます。
- 厚生年金の標準報酬月額の上限は65万円で、2027年9月から段階的に上がります。