手取りとは?額面との違いと計算方法をわかりやすく解説【令和8年版】
求人票や雇用契約書に書かれている給与は「額面」で、実際に口座に振り込まれる金額はそれより少なくなります。この振り込まれる金額が「手取り」です。この記事では、額面と手取りの違い、何がどれだけ引かれるのか、そして自分の手取りの求め方を、令和8年(2026年)のルールで説明します。
無料の計算ツール手取り計算機年収か月収を入れるだけで、手取りと引かれる金額の内訳がわかります。使ってみる ›額面と手取りの違い
額面は、会社が支払う給与の総額です。基本給に、残業手当・通勤手当・役職手当などを足した金額で、「総支給額」とも呼ばれます。年収という言葉も、ふつうは額面の1年分を指します。
手取りは、額面から社会保険料と税金が引かれたあと、実際に受け取れる金額です。給与明細では「差引支給額」と書かれています。
手取り = 額面 − 社会保険料 − 所得税 − 住民税
給与から引かれるもの
引かれるものは、大きく分けて3つです。
1. 社会保険料
会社員は、次の保険に加入し、保険料を会社と半分ずつ負担します(雇用保険だけは負担の割合が違います)。
| 保険 | 本人の負担率 | 備考 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 4.925% | 協会けんぽ・東京都の場合。都道府県や健康保険組合で変わる |
| 厚生年金 | 9.15% | 全国共通 |
| 雇用保険 | 0.5% | 一般の事業の場合 |
| 介護保険 | 0.81% | 40〜64歳の人だけ |
| 子ども・子育て支援金 | 0.115% | 令和8年4月分から |
健康保険と厚生年金は、実際の月給そのものではなく、月給を区切りのよい金額にあてはめた「標準報酬月額」に率を掛けて計算します。そのため、月給が少し変わっても保険料が変わらないことがあります。
2. 所得税
その年の所得に応じて決まる国の税金です。毎月の給与からは概算の金額が引かれ(源泉徴収)、年末調整で1年分を計算し直して、過不足が精算されます。
税率は所得が多いほど高くなるしくみで、5%から45%までの7段階です。ただし、額面にそのまま税率を掛けるわけではありません。額面から、給与所得控除・社会保険料・基礎控除などを引いた残り(課税所得)に税率を掛けます。
3. 住民税
都道府県と市区町村に納める税金で、税率は一律10%です。所得税と違い、前の年の所得をもとに計算され、翌年の6月から12回に分けて給与から引かれます。
そのため、社会人1年目は住民税が引かれず、2年目の6月から引かれ始めます。「2年目に手取りが減った」と感じるのは、たいていこれが理由です。
手取りは額面の何割?
目安として、年収300万〜1,000万円の会社員なら、手取りは額面のおよそ7〜8割です。年収が高くなるほど所得税の税率が上がるため、手取りの割合は下がっていきます。
| 年収(額面) | 手取り(年) | 手取り(月) | 手取りの割合 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約240万円 | 約20.0万円 | 80.0% |
| 400万円 | 約317万円 | 約26.4万円 | 79.2% |
| 500万円 | 約394万円 | 約32.9万円 | 78.8% |
| 600万円 | 約466万円 | 約38.9万円 | 77.7% |
| 700万円 | 約531万円 | 約44.2万円 | 75.8% |
| 800万円 | 約595万円 | 約49.6万円 | 74.3% |
| 1,000万円 | 約727万円 | 約60.6万円 | 72.7% |
※ 会社員(協会けんぽ 東京都)、40歳未満、扶養なし、ボーナスなしの場合。令和8年の税制で計算。
計算例:年収500万円の場合
年収500万円(40歳未満・扶養なし・東京都・ボーナスなし)で、実際に計算してみます。
社会保険料:年間 723,144円
月給は 500万円 ÷ 12 = 416,666円で、標準報酬月額は 41万円になります。
- 健康保険:41万円 × 4.925% = 月 20,192円
- 子ども・子育て支援金:月 472円
- 厚生年金:41万円 × 9.15% = 月 37,515円
- 雇用保険:416,666円 × 0.5% = 月 2,083円
合わせて月 60,262円、1年で 723,144円です。
所得税:年間 91,600円
- 給与所得 = 500万円 − 給与所得控除 144万円 = 356万円
- 課税所得 = 356万円 − 社会保険料 約72万円 − 基礎控除 104万円 = 179.6万円
- 所得税 = 179.6万円 × 5% = 89,800円。復興特別所得税(2.1%)を加えて 91,600円
住民税:年間 243,100円
住民税の基礎控除は 43万円なので、課税所得は 240.6万円。10% を掛けて調整控除 2,500円を引き、均等割 5,000円を足した金額です。
手取り:500万円 − 723,144円 − 91,600円 − 243,100円 = 3,942,156円
月あたりにすると約32.9万円で、額面の 78.8% が手取りになります。
令和8年(2026年)に変わったこと
令和8年分の所得税から、次の2つの控除が引き上げられました。どちらも「税金がかからない部分」が増える変更なので、同じ年収でも所得税は以前より少なくなります。
- 基礎控除:合計所得が489万円以下(給与だけなら年収およそ665万円以下)の人は 104万円
- 給与所得控除の最低額:74万円(年収220万円以下の人に関係します)
一方で、令和8年4月分の保険料からは「子ども・子育て支援金」が健康保険料と一緒に引かれるようになりました。
同じ年収でも手取りが変わる理由
年収が同じでも、次のような条件で手取りは変わります。
- 年齢:40歳になると介護保険料が加わり、手取りが少し減ります。
- 扶養している家族:配偶者控除や扶養控除を受けると、所得税と住民税が減ります。
- 住んでいる・働いている地域:健康保険の料率が都道府県ごとに違います。
- ボーナスの割合:ボーナスが多いと月給が下がり、社会保険料がわずかに変わります。
- そのほかの控除:生命保険料控除、iDeCo、住宅ローン控除、ふるさと納税など。
まとめ
- 手取りは、額面から社会保険料・所得税・住民税を引いた金額。
- 年収300万〜1,000万円なら、手取りは額面のおよそ7〜8割。
- 住民税は前の年の所得で決まるため、社会人2年目の6月から引かれ始める。
- 令和8年は基礎控除が最大104万円になり、所得税が以前より少なくなった。
自分の条件で正確に知りたいときは、手取り計算機をお使いください。年齢や扶養の条件を変えて比べることもできます。
この記事の金額は、協会けんぽ(東京都)に加入している会社員を前提にした目安です。実際の金額は、勤務先の健康保険や各種の控除によって変わります。正確な金額は、給与明細や源泉徴収票でご確認ください。