ふるさと納税の上限額の計算方法|年収別の目安と2026年の変更点
ふるさと納税は、寄付した金額から2,000円を引いた額が、所得税と住民税から差し引かれる制度です。ただし、差し引かれる金額には上限があります。
- 上限額は、住民税の所得割額の20%をもとに決まる
- 上限額 = 所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税の税率 × 1.021)+ 2,000円
- 年収500万円(独身)なら、上限額の目安は約58,000円
- 2026年の寄付では、以前の目安より上限額が下がる年収がある
この記事では、2026年(令和8年)の寄付について、上限額の計算方法を説明します。金額は、会社員・39歳以下・協会けんぽ東京都の場合の目安です。
上限額とは
ここでいう上限額は、「自己負担が2,000円で済む寄付額の上限」のことです。
上限額までの寄付なら、寄付した金額から2,000円を引いた額が、税金から差し引かれます。上限額を超えて寄付した分は、一部しか差し引かれず、自己負担が増えます。
税金から引かれる金額のしくみ
総務省の説明では、控除は3つに分かれています。
- 所得税からの控除:(寄付額 − 2,000円)× 所得税の税率
- 住民税の基本分:(寄付額 − 2,000円)× 10%
- 住民税の特例分:(寄付額 − 2,000円)×(90% − 所得税の税率)
3つを足すと、ちょうど(寄付額 − 2,000円)になります。所得税の税率には、復興特別所得税を含めます(税率 × 1.021)。
このうち3の特例分には、「住民税の所得割額の20%まで」という上限があります。特例分がこの上限にちょうど届く寄付額が、上限額です。
上限額 = 住民税の所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税の税率 × 1.021)+ 2,000円
所得割額は、住民税のうち所得に応じてかかる部分(調整控除を引いたあとの金額)です。住民税の計算のしかたは「住民税の計算方法」で説明しています。
特例分の割合
「90% − 所得税の税率 × 1.021」の部分は、所得税の税率によって決まります。
| 所得税の税率 | 特例分の割合 |
|---|---|
| 5% | 84.895% |
| 10% | 79.79% |
| 20% | 69.58% |
| 23% | 66.517% |
| 33% | 56.307% |
所得税の税率が高い人ほど、この割合は小さくなります。割合が小さいほど、同じ所得割額でも上限額は大きくなります。
計算例:年収500万円・独身
年収500万円(独身・39歳以下・ボーナスなし)の上限額を計算します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年収 | 5,000,000円 |
| 給与所得控除 | 1,440,000円 |
| 給与所得 | 3,560,000円 |
| 社会保険料 | 723,144円 |
| 基礎控除(住民税) | 430,000円 |
| 住民税の課税所得 | 2,406,000円 |
| 所得割額 | 238,100円 |
所得割額は、課税所得2,406,000円 × 10% = 240,600円 から、調整控除2,500円を引いた金額です。
次に、所得税の税率を決めます。住民税の課税所得から「人的控除差調整額」を引いた金額で、どの税率になるかを見ます。
- 人的控除差調整額:基礎控除の差5万円 +(所得税の基礎控除104万円 − 48万円)= 61万円
- 2,406,000円 − 610,000円 = 1,796,000円 → 195万円以下なので、税率は5%
- 特例分の割合:84.895%
最後に、上限額を計算します。
- 所得割額の20%:238,100円 × 20% = 47,620円
- 47,620円 ÷ 84.895% + 2,000円 = 58,092円
1,000円未満を切り捨てて、上限額の目安は58,000円です。
年収別の早見表
年収別・家族構成別の上限額の目安です。単位は円で、1,000円未満は切り捨てています。
| 年収 | 独身 | 夫婦 | 夫婦+子 |
|---|---|---|---|
| 300万 | 28,000 | 19,000 | 10,000 |
| 350万 | 34,000 | 26,000 | 17,000 |
| 400万 | 42,000 | 33,000 | 25,000 |
| 450万 | 49,000 | 41,000 | 33,000 |
| 500万 | 58,000 | 50,000 | 41,000 |
| 550万 | 69,000 | 57,000 | 48,000 |
| 600万 | 77,000 | 69,000 | 57,000 |
| 650万 | 86,000 | 78,000 | 69,000 |
| 700万 | 108,000 | 86,000 | 78,000 |
| 800万 | 130,000 | 121,000 | 111,000 |
| 900万 | 156,000 | 147,000 | 136,000 |
| 1,000万 | 183,000 | 174,000 | 160,000 |
- 会社員(協会けんぽ東京都・厚生年金・雇用保険に加入)、39歳以下、ボーナスなしの場合です。
- 「夫婦」は、配偶者控除を受けている場合です。共働きで、配偶者控除を受けていない場合は「独身」の列を見ます。
- 「夫婦+子」は、配偶者控除に加えて、16〜18歳の子ども(高校生など)を1人扶養している場合です。
- 中学生以下の子どもは扶養控除の対象ではないので、上限額はほとんど変わりません。
家族構成やほかの控除を入れて計算したいときは、ツールを使ってください。
無料の計算ツールふるさと納税 上限額年収と家族構成を入れると、上限額の目安を計算します。iDeCoや医療費控除の金額、社会保険料も指定できます。使ってみる ›2026年の寄付で変わること
上限額が以前の目安より下がる年収がある
所得税の基礎控除は、2025年分、2026年分と続けて引き上げられました。これに合わせて、特例分の割合を決めるときの金額の出し方が変わっています(令和8年度分の住民税から)。上の計算例に出てきた「人的控除差調整額」に、所得税の基礎控除の引き上げ分が加わりました。
この結果、所得税の税率が以前より低い区分になる人は、特例分の割合が大きくなり、上限額が下がります。独身の場合で、以前の決め方と比べると次のようになります。
| 年収 | 以前の決め方 | 2026年 |
|---|---|---|
| 450万円 | 53,000円 | 49,000円 |
| 500万円 | 61,000円 | 58,000円 |
| 650万円 | 98,000円 | 86,000円 |
※ どちらも同じ社会保険料で計算した金額です。上の早見表のほかの年収は、どちらの決め方でも同じ金額になります。
以前から出回っている目安の表を見て寄付額を決めると、上限額を超えてしまうことがあります。上限額に近い金額を寄付する人は、今年の条件で計算し直しておくと安心です。
2027年の寄付からは、特例分に193万円の上限
2027年(令和9年)の寄付からは、住民税の特例分に193万円の上限が設けられます。総務省の資料では、給与収入が1億円ほどの人が対象になるとされています。ほとんどの人には影響がありません。
上限額を超えるとどうなるか
上限額を超えた分も、所得税からの控除と住民税の基本分(10%)は受けられます。ただし、特例分は上限で止まるので、超えた分の大部分は自己負担になります。
年収500万円・独身の人が、上限額の目安58,000円を超えて、80,000円を寄付した場合です。
| 寄付額 | 58,000円 | 80,000円 |
|---|---|---|
| 所得税から | 2,858円 | 3,981円 |
| 住民税(基本分) | 5,600円 | 7,800円 |
| 住民税(特例分) | 47,541円 | 47,620円 |
| 引かれる合計 | 55,999円 | 59,401円 |
| 自己負担 | 2,001円 | 20,599円 |
寄付を22,000円増やしても、税金から引かれる金額は約3,400円しか増えません。自己負担は、2,000円から約20,600円に増えます。
上限額が下がる場合
上限額は、住民税の所得割額で決まります。所得から差し引く控除が増えると、所得割額が減り、上限額も下がります。
- iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金の全額が所得から引かれます。年収500万円・独身の人が年27万6千円を掛けている場合、上限額の目安は58,000円から51,000円に下がります。
- 医療費控除:その年の医療費が多く、医療費控除を受ける場合は、その分だけ上限額が下がります。
- 扶養する家族が増えた:配偶者控除や扶養控除が増えると、上限額は下がります。
- 住宅ローン控除:控除しきれない分が出ることがあります。
上限額は、寄付をした年の1月から12月までの収入で決まります。年末にならないと収入が確定しないので、残業代やボーナスが見込みより少なかったときのために、少し余裕をもたせた金額にしておくと安心です。
手続き:ワンストップ特例と確定申告
税金の控除を受けるには、次のどちらかの手続きが必要です。
- ワンストップ特例:確定申告をする必要がない会社員などが使えます。寄付先が1年間で5つの自治体までの場合に、寄付先の自治体へ申請書を出します。所得税からは引かれず、その分も含めた全額が、翌年度の住民税から引かれます。
- 確定申告:所得税の分は還付され、残りは翌年度の住民税から引かれます。
医療費控除などのために確定申告をする人は、ワンストップ特例を使えません。確定申告をすると、出してあったワンストップ特例の申請は無効になるので、すべての寄付を申告書に書きます。
住民税から引かれた金額は、翌年の6月ごろに届く住民税の決定通知書で確認できます。
まとめ
- 上限額は、住民税の所得割額の20%をもとに決まります。
- 上限額 = 所得割額 × 20% ÷(90% − 所得税の税率 × 1.021)+ 2,000円 です。
- 年収500万円(独身)の上限額の目安は、約58,000円です。
- 2026年の寄付では、年収450万円・500万円・650万円(独身)などで、以前の目安より上限額が下がります。
- 上限額を超えた分は、大部分が自己負担になります。iDeCoや医療費控除がある人は、上限額が下がります。
年収から引かれる税金と社会保険料の全体は、手取り計算機で確認できます。
無料の計算ツール手取り計算機年収か月収を入れると、所得税・住民税・社会保険料と手取りを計算します。使ってみる ›この記事は2026年10月時点の制度にもとづいています。金額は、会社員・39歳以下・協会けんぽ東京都(令和8年度)の料率で計算した目安です。給与以外の所得がある人、住宅ローン控除を受ける人などは、実際の上限額が変わります。正確な金額は、お住まいの市区町村に確認してください。